第13章 【第十二話】記録に残らない熱
コムイさんの後を追い、私たちは室長室へ向かった。
すぐ隣にラビがいる。
それなのに、肩が触れそうな距離だけが、どうしても埋まらなかった。
室長室の扉を潜ると、そこにはすでにリーバーさんとブックマンが待っていた。
机の上には、何枚もの報告書と大きな地図が広げられている。北方区域を示した地図の一角に、赤い印が付けられていた。
「来たね」
コムイさんは書類の束を机へ置くと、眼鏡の奥の瞳を僅かに伏せた。
先ほどまでの穏やかな空気は、もうない。
「二人に来てもらったのは、北方区域で確認された異常についてだ」
コムイさんの指が、地図の赤い印へ触れる。
「ここに、十五年前から放棄されている遊園地がある。園内で大規模な火災事故が起き、多数の死者が出た場所だ」
私は無言で地図を見つめた。
色褪せた紙面へ記された、小さな円形の印。
ただの地点を示しているだけのはずなのに、なぜかひどく冷たく見えた。