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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第10章 【第九話】空白の再会


やがて、名残を残すように視線を伏せ、小さく頷く。

「……はい。待っています」

「ええ」

私は微笑み、立ち上がった。

まだ足元には薄い疲労が残っている。

けれど、今度はふらつかないよう、ゆっくりと一歩を踏み出した。

扉へ向かう途中、ラビの横を通り過ぎる。

彼はもう、いつものように壁際へ寄り、軽い表情を浮かべていた。

けれど、その瞳だけが、私の手を一度だけ見た。

先ほどまで、アレンが握っていた手を。

「……ラビ」

小さく呼ぶ。

「ん?」

「あなたも、無理はしないで」

言えるのは、それだけだった。

ラビは一瞬、何も返さなかった。

それから、いつもの調子で片手を上げる。

「誰に言ってんのさ。オレは元気いっぱいだって」

軽い笑顔。

けれど、私は知っている。

その笑顔の奥で、彼が何かを押し込めていることを。

「……そう」

それ以上は言えなかった。

私は胸の奥のざわめきを抱えたまま、病室を後にする。

消毒液の匂いと、冬の隙間風が混ざり合う長い廊下。

数歩進んだところで、背後からアレンの掠れた声が聞こえた。

「……コムイさん」

静かな問い。

「どうして、室長であるあなたが……わざわざこの街まで来たんですか?」

足が、僅かに止まる。

短い沈黙のあと。

答えたのは、ラビだった。

「……ノアが出たからさ、アレン」

その声には、先ほどまでの軽さが一片も残っていなかった。
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