第10章 【第九話】空白の再会
「千年伯爵に連なる、ノアの一族。あんたが今回の任務で接触したそいつのことを、教団は一刻も早く把握しなきゃならねぇ」
ノア。
その名を、私はその時初めて耳にした。
アレンとリナリーを、ここまで傷付けた存在。
室長であるコムイさんが、直接足を運ばなければならないほどの敵。
病院の外では、何事もなかったかのように朝の鐘が鳴っている。
その穏やかな音が、かえって不気味だった。
この街の誰も知らない場所で。
目に見える傷跡すら残さずに。
アレンとリナリーをここまで追い詰めたものがいた。
ようやく会えたアレンの傷の向こうに。
まだ形すら知らない、深い闇が口を開けているような気がした。
私は知らず、喉元へ手を添える。
もう痛みはないはずなのに。
そこだけが、ひどく冷たかった。