第6章 【第五話】存在を繋ぐ歌
喉の奥が震える。
「……ひどいわね、私」
声が、僅かに掠れた。
救いたいと願ったはずなのに。
苦しんでいる魂を見つけたのに。
その別れの重さを怖がって、歌うことを躊躇っている。
“セトラだから”
“エクソシストだから”
そう言えば、選択の痛みを役目の中へ隠せる気がしていた。
けれど、違う。
この死者たちを救いたいのは、役目だからだけではない。
還ることさえ許されず、我が子へ手を伸ばし続けるその魂を、これ以上ここへ縛りつけたくないと思ったからだ。
私は少女の前へ膝をついた。
霧が、靴先へ触れる。
その瞬間、視界の端から色がわずかに薄れた。
「ティファ!」
ラビの鋭い声が響く。
けれど、私は少女と、その傍に揺れる母親の魂から目を逸らさなかった。
「……ごめんね」
小さな少女へ向けたのか。
それとも、縛られた母親へ向けたのか。
自分でも分からない。
「あなたのお母さんを、ここへ留めておくことはできない」
少女の瞳が、涙に濡れたまま僅かに揺れる。
「でも、これ以上苦しませない。あなたも、ここで終わらせない」
その言葉へ応えるように、ニルヴァーナが強く脈打った。
私は二振りのレイピアを胸の前で交差させる。
白銀の光が、細い刃から静かに溢れた。