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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第41章 【第三十六話】記録者の帰る場所



「――……」

垂れた背中は、上下しているのか。

崩壊の揺れと外套の陰で、それすら確かめられない。


生きているのか。

それとも――。


そこから先を、思考が拒んだ。

さまよった視線が、力なく反った白い喉元で、凍りついた。


そこに残る、痛々しい血の跡。

歌うことを力とする、その命の源が、無惨に傷ついている。


意味を悟った瞬間、背筋が冷たくなった。


「……ティファ」


ようやく零れた声は、掠れて、震えていた。

返事は、ない。
閉じた瞼は、開かない。


「そう見つめてやるな」

気だるい声が、上から落ちてきた。


クロスだった。

くわえた煙草を、指で挟んで離す。


「死にかけちゃいるが……まだ生きてる」


その一言に。
ラビの、止まっていた息が、戻った。


「……っ」

膝から、力が抜けそうになる。


生きて、いる。


たった一言が、凍りついていた全身を、ゆっくりと溶かしていく。


クロスは、逆さ吊りにしていたアレンを、瓦礫の上へ無造作に放った。


「いつっ……! も、もう少し丁寧に……!」
「うるせぇ」

抗議するアレンには目もくれず、クロスは肩のティファを、軽く揺すり上げた。

そして、ラビの方へ、顎をしゃくる。


「おい、そこの赤毛」
「……っ、あ?」

「少し、持ってろ」
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