第41章 【第三十六話】記録者の帰る場所
次の瞬間、アレンの肘がラビの脇腹へ入った。
「火傷でムチャクチャ体痛ぇのにぃぃ――ッッ!!」
その騒がしさに、張り詰めていた空気が、ほんの少しだけ緩む。
けれど、崩壊は待ってくれない。
鉄槌を伸ばし、四人はどうにか最上部へ辿り着いた。
出口の扉は、まだそこに残っていた。
「……みんな、無事ね」
リナリーの声に、束の間の安堵が滲む。
「ティファや神田やクロウリーも、助けないと」
けれど、その静けさを断ち切るように、アレンが、ふいに下を見た。
そのまま、もう一度下へ降りようと足を踏み出す。
「何してんさ!」
ラビが腕を掴む。
アレンは、振り返った。
真剣な顔だった。
「ティキ・ミックとレロを連れて来ます」
「はぁっ? マジで言ってんのか!?」
「ティキ・ミックは、もうノアを失ったただの人間です。……汽車で会った時、彼には人間の友達がいた。何も知らずに、帰りを待ってるかもしれない」
ラビは、すぐに言い返せなかった。
分かってしまうからこそ、苦かった。
「……オレは構わない。でもな、ノアを助けたって教団にバレたら、お前は……」
その先は、言えなかった。
その直後。
「……助ける?」
チャオジーだった。
声は、ひどく乾いていた。