第41章 【第三十六話】記録者の帰る場所
そう吐いた瞬間。
灼けるような熱が、全身へ戻ってきた。
炎が視界を白く塗り潰す。
ロードの輪郭は、崩れかけていた。
それでも業火は消えず、ラビは鉄槌を握ったまま、その中心に立ち尽くしていた。
夢との往復と、自分ごと焼く炎で、もう一歩も動けない。
「ラビ……ッ!」
止める間もなく、白い影が炎へ飛び込んできた。
アレンだった。
ラビの腕を掴み、引きずるように、二人で炎を抜ける。
「げほっ……息……吸うの、痛ぇぇ……っ」
それでも、空気が入る。
生きている。
火判の炎が収まった頃には、全員が煤と傷だらけになっていた。
「ラビ! 本当に、バカ!!」
駆け寄ったリナリーが、ラビの頬を殴る。
「いや、今のオレ、結構重傷なんだけど……」
理不尽だ。
けれど、その怒りが、無事だった証でもあった。
そんなやり取りの向こうで、焼け焦げた床の奥から、笑い声が漏れた。
「……アァ、レン……」
ロードだった。
火判に焼かれ、輪郭がぼろぼろに崩れている。
黒い瞳が、最後にアレンだけを映し――その身体は音もなく崩れ、黒い灰となって散っていった。
しばらく、誰も声を出せなかった。
その沈黙の中で、ラビが痛む身体を引きずり、アレンの耳元でぼそりと囁く。
「アレン、お前あの子に何したんさ」
「何もしてません!! 変なコト言わないでください!!」