第2章 Time after time
洗い物を終え、部屋に戻った華楠
そこには今日の同部屋である八戒が座って本を読んでいた
「おつかれさまです。夕飯、ごちそうさまでした」
「いえ、お口に合ったようで良かった」
たわいのない会話を交わし、華楠は備え付けのポットでお茶の用意をしだす。
華楠は、八戒の違和感に気づいていた。
一緒に旅をするようになってまだ数日しか経っていないためまだ信頼されていないのは分かっている。
距離感があるのは当たり前と言えば当たり前なのだが、そういうのではなく。
〃名前を呼ばれない〃
八戒からは、彼女とかあなたとかでしか呼ばれないのだ。
聞くなら今しかないと思い、沸かしたお茶を八戒のテーブルの前にコトンと置き
自分も向かいの椅子に座った
「お茶、飲みます?」
「ありがとうございます」
「ね…八戒?」
「なんでしょうか」
「八戒はさ、私のこと嫌い…かな?」
思いもよらなかった彼女の言葉に、八戒は読んでいた本をぱたんととじ顔を上げた
「あ、唐突にごめんね。なんて言うか、壁を感じて…まぁ新参者だし?信用されてないのは分かるけど…
名前…呼んでくれないから…」
八戒はハッとした。
無意識、だったのだ。
無意識に、その名前を口にしないようにしていた。
「すみません…あなたが…悪いんじゃないんです…これは僕の問題で…」
「それって…私には言えないこと?
時間が経てば八戒は私の名前を呼んでくれるってこと?」
困ったように八戒が笑う
(違う…時間なんてきっと関係なくて…)
「僕には…愛した女性がいました…」
そして語り出した。
八戒の過去と今に至るまで…
そして愛していた実の姉、花喃のことを