第10章 Cries in vain★
華楠side
目が覚めると先程とは違う部屋だった
もしかして気を失ってる間に三蔵達が助け出してくれたのかも…と淡い期待を抱くがそれは早々に打ち砕かれた
「起きたか」
身体を起こし声のする方に目をやる
「紅孩児…さん…」
「……すまなかった」
いきなり頭を下げる彼に驚いた
「いえ…あの………」
紅孩児さんは悪くない。
断片的にしか覚えてないけど薬に堕ちた私が紅孩児さんを襲ったような気がする。
そうなると紅孩児さんに至っては私が謝らなければいけない立場なわけで…
烏哭さんを信用しきっていた私の落ち度でもあるし…
「こちらこそ…ごめんなさい…」
私も頭を下げる
「そうだ…烏哭さんは…何のために…」
「烏哭?」
発した名前に紅孩児さんはきょとんとしている
「研究室にいた…白衣を着た男性です」
「ああ…あいつなら、你健一という名前でこの吠登場にて牛魔王蘇生実験の研究をしている化学者なのだが…知り合いか?」
烏哭さんが…蘇生実験の研究をしている…?
そっか…やっぱり敵側だったんだ。
幼い頃から良くしてくれて…あんなに慕っていたのに…
先程無理やり抱かれた事を思い出す。
ぎゅっと自分で自分の身体を抱きしめるとはらはらと涙が零れた
「っ…ごめ…なさい…」
何とか涙を拭うが止まらない
するとギシッとベッドに腰を下ろした紅孩児さんが、自身の胸に私の頭を抱き寄せてきた。驚いて離れようとしたけど腕の力が強くてびくともしない。
「今は…泣きたいなら泣けば良い。
俺の胸で良ければ貸してやる」
紅孩児さんはそう言って抱き寄せた手で頭をゆっくり撫でてくれた。
ふわりと香水の香りがする。
それは初めて会った時に嗅いだのと同じで気品のある、紅孩児さんにとてもよく合う香りだった