第10章 Cries in vain★
「あとは…食事ですかね。悟空がすごくたくさん食べるんですよ。食費がかかって仕方ないので…ほぼ私が料理しています」
「その分作るのが大変ではないですか?」
「私が作れば悟空は一人分で満足します」
は???
またもや呆気にとられてしまった。
以前三蔵一行を嵌めるために、八百鼡を飲食店の従業員として送り込んだ事があるためあいつの食欲の凄まじさは知っている
テーブルの上に皿が山のように積み上がっていたはずだ。
「え、と、悟空さんのお皿にだけ膨張剤を入れてるとか?」
「あはは、そんなことしませんよ。作る時に私の気を入れてるだけです。その時その人に足りない栄養素などを補う食事ができるんです」
これか、と思った。
規則正しい生活に栄養のある食事は体作りの基本だ。元々各自のポテンシャルの高さだけでやってきていた三蔵一行が、基礎を固めただけの話。
…いや、ほんと今までどんな生活を送っていたんだ。
まあ…あとはこの女を軸にしてチームワークが生まれて来ているというのもあるだろう。
「…なるほどな。理解した」
何はともあれこの女は三蔵一行にとって弱みでもあり人質だ。みすみす帰すわけにはいかないな
「あ、あの!その気を入れながら料理するの…私にもできますか?」
唐突に八百鼡が言い出すので驚いた。
敵だぞ
「人に教えたことないので分かりませんが…やってみましょう!」
そしてこの女もこの女だ。
敵だぞ…
手を取りあっている二人を見て、俺は顔を引き攣らせるしかなかった