第10章 Cries in vain★
手を握ったまま女の顔をじっと見つめていると八百鼡が湯とタオルを持って入ってきた
「紅孩児様、準備できました」
「ああ…頼む…」
俺は背を向けて、八百鼡に任せる
包まっているシーツを剥いだ八百鼡が息を飲んだのが分かった
「何があったか…お聞きしても?」
それもそのはず
剥いだ先は全裸で、身体には無数の赤い痕と色んな体液が残されているのだから
「…你健一に薬を打たれた。
身体が熱くなって…目の前のこの女が酷く欲しくなって…不本意ながら流されてしまった。
恐らく彼女も同じものを打たれたのだろう。
俺が研究室に入った時には既にヤツに抱かれた後のようだったしな」
そこまで言うと八百鼡は言葉を詰まらせている。当たり前だ。己の主君が薬を打たれたにしても、敵側の女を抱いたのだから幻滅されてもおかしくない。
「幻滅されても仕方ないと思っている。
俺の事を許せないなら部下から外れてもらっても構わない」
「いえ…!私は何があっても紅孩児様のお側を離れません」
八百鼡は首を大きく振って答えた。
…昔、八百鼡も見目麗しさ故にとある妖怪に献上されかけていたことがある。
偶々俺がそれを見かけて助けただけで、俺が通りかからなかったらそのまま凌辱されていた。多分あの時の自分とこの女を重ねてしまったのだろう。
「それで、その…特異体質って…」
八百鼡が湯に浸したタオルで女の身体を拭いている音がする
「詳しくは分からないが恐らく治癒系のものだろう。現に俺もヤツに指を折られたが彼女と交わっていたら治っていた」
「でも治癒でしたら八戒さんや私も…」
「ああ…この女にはそれ以外にも何かあるのだと思う」
「そうですね…三蔵さん達が身綺麗になって強くなっていた点も気になりますし…」
一通り拭き終えた八百鼡は、片付けをしながら「服は…どうしましょうか」と言うので棚から自分の白いワイシャツを出して渡してやった
「とりあえずこれでも着せておいてやってくれ」