第10章 Cries in vain★
「……………………………」
悟空以外は聞かなくても分かることだった。
華楠が攫われた時点で他の3人は最悪の事態を一気に頭に描いていた。だから敢えて口にしなかった。いや、口にできなかった。
言ってしまったら…本当にそうなりそうで怖いから
「実験に使われる、ということだ」
口にしたのは三蔵だった。
「…………っっ!!!!
ダメだ…そんなの…
華楠…すっげぇ嬉しそうな顔してたんだ。
久しぶりに会えたって。
それなのに…信じてた奴に裏切られるってことだろ?絶対ダメだ」
悟空は顔を上げ強く前を見据える。
「ま、華楠の泣き顔は見たくねーわな」
「ええ。彼女には笑っていてもらわないと」
悟浄と八戒はそんな悟空の両肩に、それぞれぽんと手を置きながら言った。
「三蔵、華楠のこと助けに行っても良い!?」
「それこそ愚問だな。
取られたら取り返す。それだけだ。
それにアイツが居ないと悟空の食費がかかって敵わん」
くるっと踵を返し、三蔵はジープが待機している場所へと戻る
(素直じゃねぇなぁ)
ぼそっと悟浄が呟けば、聞こえていた三蔵が振り返り睨みながら「何か言ったか」と凄んだ
「いや、なんも」
言いながら悟浄は目線を逸らして三蔵の後に続く
「ところで三蔵!どこ行くんだ??」
悟空も三蔵を小走りで追いかける
「…ハァ。向かう先は何も変わっちゃいねぇさ。西だ」