第10章 Cries in vain★
「ねえ悟空?ちょっと聞いてもいいかな」
「ん?何?」
「例えば…悟空だったら…2つあるうちのどちらか1つしか選ばなきゃいけないのに選べない時ってどうする?」
「なんで1つしか選んじゃダメなんだ?」
「えっ……?」
「選べないってことはどっちも欲しいってことだろ?だったら両方選べば良いじゃん!」
「どっちもって…欲張りにならない?」
「選べないくらいなんだからそゆ時は仕方ないだろ!」
悟空の言葉を聞いてストンと心が軽くなる。
「そっかあ…それでも良いのかもね」
三蔵と八戒のこと。
必然的にどちらか選ばなくてはと思っていたけど、そこまで深く考えなくても良いのかな。異国には一夫多妻制が残る所もあるというし、側室制度なんかも昔はあったわけで。双方が納得してならそれでも良いのかなあなんて
"両方選べば良い"か。
悟空らしいなぁ
そんな考えしたことなかった…
そう思った時、バサバサバサッと大量の烏が大きな鳴き声を上げ飛び立ったと同時に大きな黒い一羽の烏が目の前に音もなく舞い降りてくる。
「やぁ」
華楠を捉えるその烏のような黒一色の男の目を見た悟空は拾った薪をガラガラと投げ捨て臨戦態勢に入った。
「烏哭さん!?」
「久しぶりだね華楠、元気だった?」
悟空が華楠を振り返り見ると知り合いなのか、華楠は目を見開き口は笑みを浮かべている
「もうすっかり大人じゃない
昔から可愛かったけど美人になったもんだ」
「やめてくださいよ〜もう!烏哭さんのそういう所は変わらないですね」
「あ、悟空、大丈夫だよ!
この人は烏哭さん。私がいた寺院にたまに光明さまと来てた人でよく手合わせして貰ったんだ!私にとってお兄さんみたいな人だよ!」
余程テンションが上がってるのか、嬉しそうに話す彼女に悟空も警戒が解けていく。
「烏哭さんに会うの久しぶりだなー!しかもこんな所で!すごい偶然!あ、烏哭さん今ね!さん、っと、江流って覚えてますか?光明さまの弟子の」
「金髪のキレーな子でしょ?」
「そう!私今一緒に旅してるんですよ」
「へぇ〜そうなんだ?それはすごい偶然だね」
「………じゃあさ悟空くん?
呼んで来てくれないかな?久しぶりに会いたいし」