第9章 十六夜★
「仲良くやんなよ」
作業場の女性も手を振りながら外に出て見送ってくれ、ひとしきり子どもたちとハグをした後お礼を言いながら頭を下げ作業場を後にする。
「素敵な場所だったね」
「ええ」
「いつかさ、この旅が終わったら…私もあんな風に出来たら良いなあ」
「出来ますよ」
「んーでも私何を教えれるかなあ?」
「華楠は何でもできるじゃないですか。
体術、法術、踊り、料理」
八戒は指折り数えながら言う
「じゃあ八戒が勉強教えて、私は料理教えようかな」
「それは…」
八戒はふと思う。
それは、旅が終わっても傍に居て良いということで。華楠からしたら深く考えての発言ではないかもしれない。でも、だからこそ…この先も僕と居る事を当たり前だと思ってくれている事に嬉しく思った。
「…とても楽しそうですね」
一緒に教室をやろうだなんてプロポーズめいた言葉は考えすぎなのだろうけど、今はただこの幸せな勘違いをしていたい。
「でしょ?」と笑う華楠と横並びで歩きながら八戒は、早く旅の目的を終えなくてはなあと思うのだった。
「ところで…ねえ八戒?あの辞典どこにしまってたの?」
「四次元ポケット的トコです」
「…………え?」
(………………冗談、だよね?)
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「ただいま!」
「あ!八戒、華楠おかえり!」
「遅い」
「っと、ごめんね。出発前にちょっとだけ良いかな?」
言いながら華楠は持っていた袋の中から紙包みを5つ取り出す。一つ広げて中を確認し、はい、と悟空に渡した。
「華楠……これ……」
「マグカップ作ったの!といっても元々の物に私が絵を描いただけなんだけど…
でもね、みんなのこと思って描いたから、使ってくれたら良いなあ」
渡したマグカップには大きな向日葵が描かれていた。
「太陽に向かって大きく花開く向日葵が、元気いっぱいの悟空に似てるなって思って…」
華楠は少し照れくさそうに悟空の反応を伺っている。
じーっと描かれた向日葵を眺めていた悟空は、顔をあげ
「サンキュ!華楠!すっげぇ嬉しい!」
と満面の笑みで答えた。
「ほんと?良かったぁ」
ホッと胸を撫で下ろす華楠に、悟浄と三蔵も近寄って来てそわそわしだす。