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【最遊記】千日紅

第9章 十六夜★


「おはようございます」

八戒と華楠は昨日の作業場を訪れていた。

「おやおはよう、昨日のできてるよ」

机の上に並べられた5つのマグカップを見て華楠は「わぁ!」と駆け寄った。

「良かった。綺麗に出来てる!ありがとうございます」

華楠は出来栄えに満足そうに笑みを浮かべる。

「あの…おいくらですか?」

財布を取り出し、女性に聞く華楠に八戒はそっと三仏神のカードを懐から出そうとするがその手は思いとどまった。

(自分の使う分は自分で稼ぐってのが華楠のポリシーですから、ここで三蔵のカードを出すのは野暮ですね)

支払いを終えた華楠は、マグカップを緩衝材に包み袋に入れていく。
その時昨日の子どもたちがやってきた。

「あ!八戒せんせー!おはようございます!」

「はい、おはようございます」

皆丁寧にお辞儀をする姿が微笑ましい。

「八戒せんせー!今日も遊べる?」

その問いに八戒は子どもたちの目線に合わせしゃがみこむ。

「僕たちは旅をしていて、今日のお昼にはこの町を出なくちゃいけないんです」

「えー!!」
「八戒せんせーのお話聞けないの?」
「もっと教えて欲しいよー」

子どもたちの無邪気な言葉に八戒も華楠も胸が痛くなる

「それでですね、皆に渡したい物があるんですが」

ごそごそと懐から出したそれは、それなりに厚みのある一冊の本。

「これは、なぜなに辞典と言って君たちが気になることや知りたいことが書かれている本です。ちなみにあの後帰ってから僕が作りました」

「え!?八戒せんせーが書いた本!?」
「すっげえーーー!!」
「見せて見せて!!!」

「これを君たちにあげます。一冊しかないので皆で大切に使って下さいね」

子どもたちは八戒から本を受け取ると、夢中になって皆でページをめくり出す。
そこには子どもが気になりやすい「なぜ」が分かりやすくイラスト付きで描かれていた。

「え、八戒、あんなのいつ作ったの?」

それもそのはず
昨日は帰った後、一緒に夕食を作り、食べ終わったら一緒に後片付けをして、夜も寝るまでは一緒に居たわけで。

「ええ、夕食の後片付けをした後に部屋でササッと」

「ササッと…」

ササッとで作れるものではないと思う

「八戒せんせーありがとう」
「ありがとー!!」
「元気でねー」

中には目に涙を溜めて居る子もいて、こちらまで目が潤む。
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