第9章 十六夜★
三蔵side
「素直になった方が良いですよ」
昨夜の言葉を思い出し、苛立ちを覚えながらタバコに火をつける。
くそっ何にイラついてんだ俺は
それにしてもあの女もあの女だ
迫られれば誰にでも足を開くのか
いや……
俺の時は薬を飲まされてたまたま俺が助けに入ったからそうなっただけで……
あいつは…華楠は…
俺のことそんな風には思っていない…のか?
俺は好意を持っているとは伝えたが
そういやあいつからは何も聞いてねぇな…
くそ…そういうことか…?
煙を肺に送らずスパスパと口だけでタバコを吸っていると、察した悟浄が声をかけてきた。
「なーにー?三蔵サマ、恋煩い?」
軽口を叩かれ、眉間にシワが寄る。
「盗られちゃった?」
「そもそも俺のじゃねぇよ」
「えー、じゃあ俺も盗っちゃおっかな」
「やめとけ。こんな仲間内で色恋沙汰なんざめんどくせぇ」
「はっ…恋愛ってのはかくも面倒なもんなんだぜ?」
「くだらねぇな」
そう吐き捨てるように悟浄に言うが、ひとつの疑問が浮かんだ
「……知ったような事を言ってるがそもそもお前は産まれてこの方、語れるような恋愛をしてきたのか」
悟浄はきょとんとしたあと、目線を上にやったり下にやったり眉間にシワを寄せてうーーーんとひとしきり考えた挙句
「ねェわ」
とだけ言い放った。
こいつに聞いた俺が馬鹿だった。