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【ヒロアカ】MY SWEET HEROES

第15章 体育祭



借り物競争は、もう終盤の空気を完全に超えていた。

グラウンドの熱気はピークを越え、観客も実況も「次は何が起きるのか」を楽しむモードに入っている。

その中で、アナウンスが響く。

「次の走者――1年A組!」

ざわっ、と空気が変わる。

出てきたのは同時に2人。

爆豪と轟。

「……出た」

「これは絶対盛り上がる」

観客の期待すら混じる中、二人は紙を受け取る。

開く。

一瞬の沈黙。 

「……」

「……」

同時に、顔が上がる。

そこに書かれていたお題。

――「運命の人」

空気が止まる。

「……は?」

切島が素で声を出す。

上鳴が叫ぶ。

「それ競技じゃねぇだろ!!」

だがもう遅い。

爆豪は紙を握り潰す勢いで走り出す。

轟もほぼ同時に動く。

向かう場所は決まっている。

3年生テント。

そこにいるのはただ一人。

ユカリ。

***

3年テント。

ユカリは、さっきまでの借り物ラッシュの余韻で少しだけ疲れたように座っていた。

「……次は誰かな」

そんな呟きの直後。

テントの前に、二つの影。

「ユカリ」

「ユカリ先輩」

ほぼ同時。

顔を上げる。

爆豪と轟。

そして二人は、同じように手を差し出した。

「来い」

「来てください」

一瞬の静寂。

意味は明白だった。

借り物競争のはずなのに。

これはもう完全に――

公開告白。

観客席がざわつく。

「え、なにこれ」

「競技どこいった」

実況すら一瞬言葉を失う。

3年テントの空気も止まる。

ねじれがぽつり。

「わぁ〜……すごいタイミングだね〜!」

ミリオは楽しそうに笑う。

「いやぁ〜青春だねぇ〜!」

環は遠い目。

「……やっぱりこうなると思った」 

爆豪は言う。

「先輩しかいねェ」

轟も続ける。

「最初から決まってる」

言葉は違うのに、意味は同じだった。

ユカリは、少しだけ目を瞬かせる。

いつもみたいに周りが騒がしくて。

いつもみたいに冗談みたいな空気で。

でも今だけは。

ほんの少しだけ違う温度があった。

観客は静かに息を呑んでいる。

そして――

その中心にいる二人は、手を下ろさない。

まるで本当に、答えを待っているみたいに。

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