第15章 体育祭
切島が慌てて間に入る。
「待て待て待て!!競技中!!競技中だから!!」
出久も全力で止める。
「かっちゃん落ち着いて!!」
上鳴が叫ぶ。
「峰田の時だけガチすぎるだろ!!」
その横で、ユカリは普通に困っている。
「えっと……どうしようこれ」
だが、爆豪は即答。
「行くな」
轟も短く。
「ユカリ先輩行かなくていいです」
峰田が泣きそうになる。
「理不尽だろ!!」
観客席は大爆笑だった。
「爆豪と轟の阻止力えぐい!!」
「峰田だけ制限かかるの草!!」
実況も笑いをこらえきれない。
「これは前代未聞の“選択的防衛ライン”です!!」
結局、競技は続行。
峰田だけは強制的に別ルートへ押し戻される。
そしてその横で、爆豪と轟は何事もなかったかのように戻る。
切島が呆れる。
「お前らさ……ほんと分かりやすいな」
上鳴が肩をすくめる。
「峰田だけ人生ハードモードすぎる」
だがその間も、グラウンドの中心ではユカリが次々と呼ばれ続けていた。
そんな中。
1年B組の観客席は完全に温度差ができていた。
「……あれ、同じ学校の体育祭だよな?」
物間が腕を組みながら、呆れを隠さずに言う。
視線の先では1年A組が、なぜか“恋愛イベント混じりの借り物競争”を繰り広げている。
「“今世は無理だけど来世で付き合いたい人”って何?競技なの?」
「もうあれルール崩壊してるだろ」
周囲のB組も苦笑しているが、空気はむしろ面白がっている。
「でもさ、あの爆豪と轟がガチで動いてるのウケる」
「しかも峰田だけ処理速度違いすぎて草」
その横で物間はさらにため息。
「まったく……A組はいつもこうだ。目立つことに全力すぎる」
その頃グラウンドでは、また一人ユカリが“借り出されている”のが見える。
B組の生徒が笑う。
「ほらまたユカリ先輩行った」
「人気すぎる」
物間はぼそっと言う。
「……あれは人気というより災害だろ。人を巻き込みすぎなんだよ」
だがその“災害”の中心が、なぜか場を成立させているのも事実だった。
B組は大爆笑。
A組は大混乱。
そして物間だけが、呆れながらもどこか納得している顔で、ずっとその光景を見ていた。