第15章 体育祭
最終局面。
グラウンドの空気が一気に張り詰める。
1年生チームはもはや別次元の速度だった。
「……速すぎだろあれ」
観客席の誰かが呟く。
というより、もはや笑いが起きていた。
「いやもう追いつくとかの問題じゃなくない?」
爆豪は前だけ見ている。
轟も横目すらしない。
ただ、ゴールだけを見ている。
(勝つ)
(勝つ)
それしかない。
いつの間にか抜かれた環とユカリが必死に追うが、差は縮まらないどころか広がる一方。
2年生なんて半周分だ。
その様子に実況すら言葉を失う。
その瞬間、職員席。
相澤が深くため息をついた。
「……もう少し手加減を覚えろ」
だがその声は、ほぼ届いていない。
ゴールテープが見えた瞬間。
爆豪が一歩踏み込む。
轟がわずかに加速する。
そして――
「「勝つ」」
ほぼ同時。
ゴールラインを切った。
一瞬遅れて、会場が爆発したような歓声に包まれる。
「1年生、ゴール!!」
「圧倒的勝利!!」
切島が叫ぶ。
「いやお前ら本気出しすぎだろ!嬉しいけど!」
上鳴は頭を抱える。
「2年泣いてるって!」
出久は苦笑しながら拍手している。
そして爆豪はようやく止まり、息を吐く。
轟も静かに立ち止まる。
だが二人の視線は、自然と同じ方向へ向いていた。
3年生チーム。
その中心にいる――ユカリ。
勝ったのは1年生。
だが、誰もが感じていた。
この体育祭の“熱”はまだ、ここからだと。