第13章 新学期
***
職員室は、いつも通り静かに見えて、内容はだいぶ騒がしかった。
「今回の合宿、例年以上に成果が出てるな」
そう言いながら資料をめくるのは相澤。
だが、隣でプレゼント・マイクがすぐ茶化す。
「いや〜成果もそうだけどさ、別の意味でも“熱かった”らしいぜ?」
「……何がだ」
相澤の目が細くなる。
その時、別の教師が資料をめくりながら言う。
「いや、生徒間の連携も良かったですが……一部、妙に人間関係が濃くなってませんか?」
「濃くなってるどころじゃないだろ〜!」
マイクが笑う。
「爆豪と轟、あれ完全に“守る対象一致”してたぞ」
「……ユカリか」
相澤が小さく呟く。
資料には名前がある。
ユカリ。
実力評価は安定して高い。
だが、問題はそこではない。
マイクが肘で相澤をつつく。
「なぁ、あの三人の空気さ、普通じゃなくね?」
「見ればわかる」
即答だった。
「特に爆豪と轟!同じ方向向いてるのに全然噛み合ってないっていうか……いや噛み合ってるのか?」
マイクが笑いながら続ける。
「もう“対抗心で連携してる”みたいな感じだったよな!」
相澤はため息をつく。
「授業に支障が出ない範囲なら放置だ」
「出てる範囲は?」
「知らん」
即答。
その時、別の教師がぽつりと言う。
「でもあの子、三年生の中でもかなり目立ってましたよね?性格も含めて、やたら周囲を巻き込むというか……」
マイクがニヤッとする。
「巻き込まれてるの、主に爆豪と轟だけどな」
「問題はそこだ」
相澤が即座に返す。
資料を閉じながら、少しだけ考える。
「本人が無自覚なら、なお厄介だ」
その言葉に職員室が一瞬だけ静かになる。
だがすぐにマイクが笑う。
「青春ってやつじゃね?」
「学校で一番厄介なやつだろ、それ」
窓の外では、次の授業のチャイムが鳴る。
職員室ではまだ、あの合宿の“余波”が話題の中心のままだった。