第13章 新学期
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午後の教室は、黒板の文字と相澤の声が淡々と流れていた。
だが、爆豪と轟の集中力は、完全に別の方向に向いていた。
窓の外。
そこでは3年生の実技授業が行われている。
そして、その中に――
ユカリの姿があった。
「………」
爆豪の視線が、ずっと動かない。
轟も同じように、静かに目で追っている。
授業の内容はもう半分耳に入っていない。
「おい、爆豪。轟。集中しろ」
相澤の注意すら、どこか遠い。
その瞬間だった。
ユカリがふと顔を上げる。
視線が、偶然こちらに向く。
一瞬、目が合う。
そして――
小さく、手を振った。
「……っ」
爆豪のペンが止まる。
轟のまばたきが一拍遅れる。
(今の、反則だろ)
(……可愛い)
教室の中で、空気が一瞬だけ変になる。
切島がすぐ気づく。
「おい今の見たか!?窓!!」
上鳴が机を叩く。
「完全にファンサじゃん!!」
出久が苦笑する。
「そりゃ気になるよね……」
だが当の二人は反応が違う。
爆豪は小さく舌打ち。
「……授業中に何やってんだよ」
そう言いながら、視線は戻らない。
轟は静かに一言。
「集中できない」
ストレートすぎる本音。
切島が爆笑する。
「正直すぎるだろ!!」
上鳴も騒ぐ。
「もう授業終わってるのと同じじゃん!!」
相澤がため息をつく。
「……爆豪、轟。後で職員室来い」
しかし二人は動かない。
窓の外では、ユカリはもう視線を戻して授業に集中している。
その普通の動作すら、なぜか目に焼きつく。
爆豪はぼそっと言う。
「……先輩、普通に邪魔」
轟も静かに続ける。
「ああ、同意だ」
だがその言葉とは裏腹に、どちらも目は離さない。
切島が呆れる。
「いやそれ“好きすぎて邪魔”ってやつだろ」
上鳴が笑う。
「授業どころじゃないの草」
窓の外と教室の中。
距離はあるのに、視線だけは完全につながっている。
そしてその日の授業は、いつもより少しだけ進みが遅かった。