第12章 夏休み
画面の向こうでユカリが少し困ったように笑う。
『うーん……そんなにないよ?』
ミリオが横からひょいと顔を出す。
『あるある!ちゃんと撮ってるよ〜!』
ねじれも楽しそうに言う。
『ユカリがめっちゃ可愛かったやつ〜!』
環はぼそっと一言。
『……送ってあげたら?』
爆豪は即答。
「今」
轟も続ける。
「今ください」
出久が頭を抱える。
「圧がすごい!」
ユカリは一瞬だけ固まって、それから笑う。
『わかった。あとで送るね』
その返事でようやく爆豪が「チッ」と引き下がる。
轟も小さく頷く。
「待ってます」
そして通信は切れた。
静寂。
A組の教室。
切島がボソッと一言。
「……こいつら、完全に保護者ポジじゃね?」
上鳴が即答する。
「いや彼氏未満の圧が一番怖いんだけど」
出久は苦笑しながらスマホをしまう。
その横で。
爆豪は無言で机に座り直し。
轟も静かに前を向く。
だが二人とも、さっきまでより少しだけ“満たされている顔”をしていた。
離れているのに。
もう、繋がってしまっている状態だ。
そして。
数分後。
スマホが震えたのはほぼ同時だった。
「……来た」
爆豪が即座に画面を見る。
隣で轟も静かにスマホを開く。
送信者は――ユカリ。
『海の写真送るね』
その一文と一緒に、画像が開かれた。
「…………」
沈黙。
数秒後。
爆豪の顔が固まる。
「……は?」
轟も一瞬止まる。
「…………」