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【ヒロアカ】MY SWEET HEROES

第45章 誕生日




***


同じ頃。

人気のない廃ビルの一室。

部屋の中には、ショッピングモールの防犯カメラ映像が映し出されたモニターが並んでいた。

そこに映るのは、去っていく​ユカリと環の背中。

部屋の中は静かだった。

最初に口を開いたのはトガヒミコだった。


「見つけてくれたね」


少し嬉しそうに笑う。

モニターには​、ユカリが紙を拾う瞬間が映っていた。


「​ユカリちゃん、ちゃんと読んでくれた」


トガは満足そうだった。

コンプレスも帽子を軽く押さえる。


「捨てずに持っていったのは意外だねぇ」

「そうか?」 


トゥワイスが腕を組む。


「いや意外だろ!」


一人で会話するように言葉を重ねる。


「律儀なんだよ!」

「優しいんだ!」


荼毘は壁にもたれたまま、鼻で笑った。


「変わった女だな」


死柄木は何も言わない。

ただ、モニターを見ている。

​ユカリが紙をポケットにしまった瞬間も。

その場を離れていく背中も。

全部、黙って見ていた。



やがて、小さく呟く。



「捨てなかったな」



誰に言うでもなく。

独り言のように。

トガが目を細めて笑う。


「だって、​ユカリちゃんだもん」


死柄木は答えなかった。

モニターの中で、小さくなっていく背中を見つめ続ける。


​ユカリは戻った。

ヒーローの場所へ。

仲間の場所へ。

それは分かっている。

理解もしている。

でも。

それでも。

あの数日間は確かに存在した。

ヴィラン連合の中で過ごした時間。

交わした言葉。

向けられた視線。

全部。

消えたわけじゃない。


死柄木はゆっくり目を閉じる。

そして。

小さく息を吐いた。



「……誕生日くらいは」 



誰にも聞こえないくらいの声。




「祝ってやってもいいだろ」




部屋の誰も何も言わなかった。


ただ、モニターの向こうでは。

何も知らない​ユカリが環と並んで歩いていた。



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