• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

【ヒロアカ】MY SWEET HEROES

第45章 誕生日







「…………」


​ユカリの足が、ぴたりと止まった。

ほんの一瞬。

何かがおかしい。

言葉では説明できない、ほんの僅かな違和感。

​ユカリは反射的に顔を上げた。

視線の先へ意識を向けた瞬間、背筋を冷たいものが走り抜ける。


脳裏に蘇ったのは、あの日の感覚だった。


足元から身体を呑み込んでいくような、黒い闇。

視界も、身体の感覚も、一瞬で奪われていく。

黒霧の個性によって作られた、あの禍々しいワープゲート。

あの闇に引き摺り込まれた感覚を、​ユカリの身体が覚えていた。


「…………っ」


胸の奥が、きゅっと縮む。

気のせいかもしれない。

けれど――違う。

あのときと、似ている。

ショッピングモールの奥。

人の流れから少し外れた場所に、非常階段へ続く扉がある。


「​ユカリ?」


環の声が聞こえて、​ユカリは一瞬だけ迷った。

けれど、身体はもう動いていた。


「環、ちょっとトイレ!」

「え?」


返事を待たず、​ユカリは走り出した。

袋をしっかりと握り締め、人混みを抜けていく。

廊下の角を曲がる。


そして――

非常階段へ続く扉の前で、足を止めた。



/ 786ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp