第11章 合宿
「っ……」
ユカリが目を見開く。
爆豪は一度離れて、息を吐いた。
「これで分かるだろ」
「俺は、こういうのも」
また近付いてくる。
「我慢しねェ」
「っ…ん…!」
またキス。
でも。
強引なのに、どこか確認みたいに丁寧で。
感情が全部そこに出ている。
やっと離れたとき、爆豪は少しだけ目を細めた。
「……嫌なら言え」
「…………」
「言わねぇなら何回でもやる」
ユカリは完全に固まったまま、顔を真っ赤にしている。
爆豪はそれを見て、ほんのわずかに口元を歪めた。
安心しているのか。
余裕がないのか。
自分でも分かっていない顔。
遠くの歓声だけが、現実との距離みたいに薄く響いている。
爆豪の赤い目が、まっすぐユカリを捉える。
そこにはもう迷いがなかった。
「先輩」
一瞬だけ言葉が止まる。
いつもの爆発みたいな勢いじゃない。
それでも、逃げない。
「本気で好きだ」
静かに落とされたその一言は、今までの全部より重かった。
静寂。
爆豪は視線を逸らさないまま続ける。
「ガキみたいだとか、独占欲だとか、どうでもいい」
「先輩が他の奴に笑ってるの見て、ムカついて」
「でも俺のときはちゃんと俺を見てて」
「それで十分だろ」
少しだけ眉を寄せる。
不器用なまま、全部出し切るみたいに。
「だから、俺の方見ろ」
ユカリの反応を待つように、爆豪はそこで止まった。
押さえつけるでもなく。
逃げる余地も残さないでもなく。
ただ、真っ直ぐそこに立っているだけだった。