第11章 合宿
試合終了の合図が響いた瞬間、訓練場は一気に歓声に包まれた。
「勝ったぁぁ!!」
「爆豪&ユカリペアやばすぎ!!」
ミリオも笑いながら手を叩き、環は疲れたようにその場に座り込む。
「……強すぎ」
誰もが納得する勝利だった。
だが。
その中心にいるはずの一人――爆豪は、歓声に混ざらなかった。
爆豪は、ユカリの腕を強く引いた。
「来い」
「え、ちょっ…爆豪くん!」
ユカリが振り返る暇もなく、人気のない訓練施設裏へ連れていかれる。
足音が止まる。
静か。
遠くの歓声だけが、薄く聞こえる。
爆豪は振り向かないまま、低く言った。
「……何回だ」
「え?」
「何回キスされた」
「っ………!」
ユカリは言葉に詰まる。
爆豪は知っている。轟とのキスを。
それが今わかって、ユカリの顔が熱くなる。
「一回、だと思うけど……」
その瞬間。
爆豪の目が鋭くなる。
「“だと思う”じゃねぇだろ」
さらに一歩。
距離がほぼゼロになる。
「ちゃんと数えろ」
「爆豪くん、ちょっと待っ――」
「待たねェ」
即答だった。
爆豪は拳を握るでもなく、ただ真っ直ぐ見ている。
怒っているというより、抑えきれないものが漏れている。
「嫌なら、ちゃんと拒否しろ」
一瞬の沈黙。
その言葉は強引なのに、不思議と真剣だった。
「俺はそういう、曖昧なのムカつく」
「………」
ユカリは何も言えない。
その反応を見て、爆豪は小さく舌打ちした。
「……じゃあ」
次の瞬間。
ぐっと距離が詰まる。
そして。
昨日の夜を再現するかのように。
一瞬で壁に追いやられて。
「確かめる」
呼吸が止まる。
「ユカリ」
「っ……」
名前を呼ばれて、
どうしようもなく胸が高鳴る。
そして。
唇が触れた。