第9章 学園祭
だが。
二人は周囲なんて見ていなかった。
視線は一直線。
ユカリへ。
「…………」
「…………」
止まる。
完全に固まった。
ユカリは耐えきれず、小さく聞く。
「……変じゃない?」
その瞬間。
二人とも息を呑んだ。
「は?」
爆豪が眉を寄せる。
「どこがだよ」
轟も静かに言う。
「綺麗すぎます」
直球。
ユカリ、撃沈。
「無理……」
しゃがみ込む。
すると爆豪が近づいてくる。
「おい先輩」
「……なに」
「そんな顔で他の男の前出んな」
「出るの決まってるの!!」
独占欲が隠せてない。
轟も隣へ来る。
「今日ずっと隣いたいです」
「っ」
「手繋いでもいいですか」
「今聞く!?」
ねじれ、爆笑。
ミリオも肩を震わせている。
「いやぁ〜青春!」
その横で環が静かに呟いた。
「……ユカリ、頑張れ」
すると、アナウンスが響く。
『次の出場者の皆さん、ステージ袖へお願いしまーす!』
ユカリの肩がびくりと跳ねた。
緊張が一気に戻る。
だがその時。
左右から、そっと手が触れた。
爆豪と轟だった。
「大丈夫です」
轟が静かに言う。
「先輩なら絶対一番綺麗です」
爆豪も少し照れ臭そうに目を逸らしながら、
「……俺らがついてる」
そう言った。
その言葉だけで。
ユカリの胸が少しだけ落ち着く。
ねじれがにこにこ笑う。
「ほら、行っておいで!」
そして。
ユカリは二人と一緒に、まばゆいステージへ向かって歩き出した。