第7章 彼氏予想大会 / 熱
しかも。
眠るユカリが、小さく「ん……」と寝返りを打つ。
その瞬間。
二人同時に反応。
「おい!?」
「大丈夫ですか」
立ち上がる速度が異常。
相澤、頭を押さえる。
「だからそういうとこだ」
するとユカリは、眠ったまま小さく毛布を握った。
「……轟くん……」
空気停止。
轟、固まる。
爆豪も止まる。
相澤ですら少し黙った。
数秒後。
「……は?」
爆豪が低く呟く。
轟は目を見開いたまま、ユカリを見ている。
だが。
「……爆豪くん……」
追撃。
今度は爆豪が硬直した。
相澤、察する。
(熱で夢見てんな)
しかし二人には致命傷だった。
爆豪は口を押さえた。
「クソが……」
完全に限界。
相澤はついに二人の襟首を掴んだ。
「はい終了」
「待ってください」
「まだ見てたい」
「授業戻れ」
「嫌だ」
「駄々こねんな」
爆豪と轟が本気で抵抗する。
だが、相澤は容赦なかった。
「ユカリは寝かせろ」
ずるずる引きずられていく二人。
「先輩起きたら呼べ!!」
「ちゃんと水飲ませてください!」
「うるせぇ」
保健室の外まで騒がしい声が遠ざかっていく。
そして静かになった室内。
眠るユカリは何も知らないまま、小さく寝息を立てていたのだった。