第7章 彼氏予想大会 / 熱
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カーテン越しに、午後の柔らかな光が差し込んでいる。
薬が効いたのか、ユカリはすっかり眠っていた。
静かな寝息。
少し赤い頬。
毛布に半分埋もれた顔。
そして時々、小さく身じろぎするたびに揺れる髪。
「…………」
ベッド横に座る爆豪と轟は、完全に無言だった。
なぜなら。
かわいすぎた。
「……寝顔可愛すぎんだろ」
先に呟いたのは爆豪だった。
声が小さい。
普段では考えられないくらい小さい。
轟も静かに頷く。
「分かる」
「顔ちっせェし」
「睫毛長い」
「肌白……」
「髪触りたい」
「触んな」
二人とも重症だった。
しかも。
さっき熱でぼんやりしたユカリが言った言葉が、頭から離れない。
――『二人とも距離近いし優しいし心臓うるさい……』
轟はじっと眠るユカリを見つめながら、ぽつり。
「先輩、俺たちのこと意識してるよな」
「……ああ」
「嬉しい」
「……俺も」
素直か。
しかもユカリは寝ているから、二人とも若干気が緩んでいた。
「……先輩寝顔無防備すぎんだろ」
爆豪が眉を寄せる。
「他の奴に見せたくねェ」
「分かる」
轟も真顔で同意。
「連れて帰りたい」
「殺すぞ」
危険発言だった。
すると。
「お前ら」
低い声。
二人同時に振り返る。
カーテンの向こうに立っていたのは、担任の相澤。
目が死んでいる。
「あ」
空気終了。
相澤は眠っているユカリを一瞥し、それから二人を見る。
「何してる」
「看病」
「見れば分かる」
即答。
「何時間いる気だ」
「ずっと」
「帰れ」
「は?」
爆豪が不満そうに眉を寄せる。
轟も静かに反論した。
「先輩一人だと心配です」
「保健室だぞ」
「でも」
「養護教諭いるだろ」
正論だった。
二人とも黙る。
だが視線だけはユカリへ向いている。
相澤は深いため息をついた。
「……お前ら、自分がどんな顔してるか分かってるか」
「?」
「重い彼氏候補」
「「……」」
否定できなかった。