第7章 彼氏予想大会 / 熱
ユカリは困ったように笑った。
「で、でも授業あったし……」
「そんなん休め」
「休んでください」
説教が始まった。
しかも二人同時。
代理の先生は微笑ましそうに机に戻っていく。
「先輩ちゃんと寝たんですか」
「飯食ったか」
「水分は」
「昨日薄着だっただろ」
「うっ……」
図星。
ユカリがしゅんとすると、二人とも同時に黙る。
そして。
「……あんま無理すんな」
爆豪がぼそっと言った。
その声音が思ったより優しくて。
熱のせいだけじゃなく、胸まで熱くなる。
轟もベッド横へ座りながら静かに言った。
「ユカリ先輩、いつも周り優先するから」
「……」
「もっと自分大事にしてください」
優しい声。
近い距離。
ぼんやりした頭に、その声が変に響く。
「二人とも心配しすぎ……」
ユカリが小さく笑う。
すると爆豪が即答した。
「するに決まってんだろ」
「っ」
轟も静かに頷く。
「好きな人なんだから」
「〜〜〜っ!!」
熱が上がった気がした。
ユカリが毛布を頭まで被る。
「無理……」
「何が」
「二人とも距離近いし優しいし心臓うるさい……」
その言葉に。
爆豪と轟が同時に固まる。
数秒後。
「……は?」
爆豪の耳が赤くなる。
轟も少し目を見開いた。
ユカリは自分が口走った内容に気づき、さらに顔を覆う。
(熱で頭おかしくなってるーーー!!)
保健室が妙な沈黙に包まれる。
そしてその空気を破ったのは。
ガラッ。
「失礼しまーす……って」
入ってきた出久。
三人を見て固まる。
ベッドで真っ赤になってるユカリ。
両側に座る爆豪と轟。
空気が甘い。
「…………」
出久、察した。
(あ、今めちゃくちゃ大事な場面だった)