第7章 彼氏予想大会 / 熱
翌日。
朝からユカリは少しぼんやりしていた。
「ユカリ、大丈夫?」
ねじれが顔を覗き込む。
「んー……ちょっとだるいかも」
「顔赤いよ?」
「え、ほんと?」
ユカリは苦笑した。
昨日の訓練の疲れだと思っていた。
でも授業が進むにつれて、どんどん身体が重くなる。
視界も少しぼやける。
昼休みの時間。
廊下を歩いていたユカリは、ふらりと壁へ手をついた。
「っ……」
その瞬間。
「ユカリ先輩!」
聞き慣れた声。
振り返るよりも早く、誰かに肩を支えられた。
轟だった。
「顔赤いです」
「大丈夫……」
「大丈夫じゃねぇ」
低い声。
珍しく少し焦っている。
そこへ。
「何やってんだテメェら」
爆豪もやって来る。
そしてユカリを見るなり、顔つきが変わる。
「……おい」
すっと額へ手が伸びる。
「先輩熱出てんじゃねェか!!」
一気に空気が変わった。
ユカリは反射的に後ずさる。
「だ、大丈夫だよ!?」
「全然大丈夫じゃないです」
轟が即答。
「歩けますか?」
「う、うん……」
「俺が保健室連れてく」
「俺も行きます」
「だ、だめだよ、二人とももうすぐ授業――」
聞いてない。
結局。
ユカリは両側を二人に囲まれながら保健室へ連行された。
周囲の視線が痛い。
「えっユカリ先輩!?大丈夫!?」
「爆豪と轟めちゃくちゃ顔怖い!」
「修羅場!?」
違う。
でも説明する元気もない。
保健室。
リカバリーガールは急用で不在。
代理の養護教諭の先生がいた。
ベッドへ座らされたユカリを、二人が真剣な顔で見ている。
「熱測ってね」
代理の先生が体温計を渡す。
爆豪は腕を組んだまま落ち着かない。
ピピッ。
表示された数字。
『38.2℃』
「うわ……」
ユカリが小さく呟く。
思ったより高かった。
その瞬間。
二人の顔がさらに険しくなる。
「何で学校来たんですか」
轟の声が少し低い。
「無理して来んじゃねェ」
爆豪も眉を寄せる。