第23章 演劇祭
その後も舞台は進む。
バルコニーの名場面。
夜。
ジュリエットが空を見上げる。
「ロミオ、ロミオ。どうしてあなたはロミオなの?」
ユカリの声が会場に響く。
ロミオが姿を現す。
そして。
「名前なんて捨てる」
轟の声。
静かなのに強い。
「君を得られるなら」
客席が息を呑む。
轟の演技は派手ではない。
だが真っ直ぐだった。
それが逆に刺さる。
出久は袖で感心していた。
(すごい……)
(轟くん、本当にロミオになってる)
そして物語は進む。
秘密の結婚。
神父の前で愛を誓う二人。
その裏で高まる家同士の憎しみ。
そして、運命の日。
ティボルトとロミオの親友の対決。
出久演じるマキューシオが前に出る。
「争いなんてくだらない!」
そう叫ぶ。
だが、ティボルトは剣を抜く。
環の迫力が凄まじい。
戦い。
怒号。
そして。
マキューシオが倒れる。
観客席がざわつく。
「もう死ぬの!?」
「早い!」
そう。
ロミジュリは意外なほど展開が速い。
出久は倒れながら叫ぶ。
「――お前たち両家に災いあれ!」
有名な台詞。
その瞬間。
ロミオの怒りが爆発する。
轟の目が変わる。
普段の静かな彼ではない。
親友を失った男。
その怒り。悲しみ。
そして。
ティボルトとの決闘。
環も負けない。
会場全体が引き込まれる。
そして。
ティボルトは倒れる。
客席でファットガムが泣いている。
「環ぃぃぃあぁぁぁぁ!!!」
また注意された。