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【ヒロアカ】MY SWEET HEROES

第23章 演劇祭



―――

稽古最終日。

本番前日。

講義室にはこれまでで一番張り詰めた空気が流れていた。

ふざける者はいない。

台詞の確認。

立ち位置。

照明のタイミング。

出入りの順番。

全てを何度も何度も確認する。

ユカリも集中していた。

轟も。出久も。環も。

主要キャストだけでなく、全員が明日の舞台を成功させようとしていた。

ミッドナイトも珍しく厳しい。

「そこ半歩遅い!」

「次!」

「テンポ!」

「感情は切らない!」

講義室に声が響く。

その度に全員が修正する。

そして。

いよいよ最後。

祭壇のシーン。

ロミオとジュリエットが永遠の愛を誓う場面。

物語の中でも特に重要な場面だった。

静かな空気。

ユカリが位置につく。

ジュリエット。

轟も立つ。

ロミオ。

台詞は完璧だった。

ここまで何度も練習した。

だが。

轟の動きが止まる。

沈黙。

講義室が静かになる。

出久も顔を上げる。

環も見る。

ミッドナイトも何も言わない。

数秒。

長く感じる時間。

「……轟くん?」

ユカリが小さく声をかける。

心配そうな顔。

轟は視線を落とした。

そして。

「悪ィ」

珍しく砕けた言い方だった。

「ユカリ先輩」

顔を上げる。

「このシーン、明日に取っておいていいか」

ユカリは目を瞬かせた。

「え?」

予想外だった。

轟が自分から稽古を止めるなんて。

これまでほとんどなかった。

しかも、その表情。

どこか迷いがあり。

それでいて何かを決めているようにも見える。

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