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【ヒロアカ】MY SWEET HEROES

第23章 演劇祭





「本気でジュリエットを愛してる」

「本気で欲しいと思ってる」

「本気で誰にも渡したくないと思ってる」

言葉が重く落ちる。

そして。

「どこかで思ってない?」

轟の目を見る。

「本人が幸せならそれでいい」

「本人が選ぶならそれでいい」

「俺じゃなくてもいい」

「………」

轟は答えない。

答えられなかった。

ミッドナイトは見透かしたように笑う。

「それ、優しさよ」

「素敵なこと」

「でもロミオじゃない」

静かに言う。 

「ロミオはもっと欲張り」

「もっと自分勝手」

「もっと必死」

そして。

決定的な言葉を投げた。

「見せなさいよ」

講義室が静まる。

「俺が奪ってでも幸せにしてやる」

「その覚悟」

轟は黙ったままだった。

頭の中に浮かぶ。

ユカリ。

初めて見た時。

体育祭。

学園祭。

合宿。

そして。

これまでの時間。

ミッドナイトは何も言わない。

ただ待つ。

やがて轟は窓の外を見る。

夕焼け。

校舎。

グラウンド。

その向こう。

ユカリが帰っていった道。

ふと思い出す。

凛。

爆豪。

そして自分。

ずっと。

ユカリの選択を尊重しようと思っていた。

誰が選ばれても。

ユカリが幸せなら。

それでいいと。

そう思っていた。

いや。

思おうとしていた。

だが、本当にそうだろうか。

ミッドナイトの言葉が刺さる。

――俺じゃなくてもいい。

その考えを想像した瞬間。

胸の奥が重くなる。

苦しい。

嫌だ。

認めたくないほど嫌だった。

初めて。

轟はその感情を真正面から見た。

しばらくして。

「……先生」

低い声。

「なあに?」

轟はゆっくり言う。


「ロミオって」

「結構面倒な男ですね」


ミッドナイトが吹き出した。

「そうよ」

即答だった。

「恋愛なんて大体面倒なの」

轟は小さく息を吐く。

そして台本を手に取る。

祭壇のシーン。

永遠の愛を誓う場面。

そこをじっと見つめる。

ミッドナイトは何も言わなかった。

ただ、少しだけ笑う。




今日初めて。

轟焦凍はロミオの気持ちではなく、

轟焦凍自身の気持ちと向き合い始めていた。




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