第23章 演劇祭
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それから数日後。
稽古を終えたキャストたちが帰り支度を終え、講義室から次々と出ていく。
ユカリも「お疲れさまでした!」と笑顔で手を振り、ねじれやミリオたちと帰っていった。
やがて。
講義室には二人だけが残る。
轟焦凍。
そしてミッドナイト。
夕日が差し込む静かな教室。
「轟くん、ちょっといいかしら?」
呼び止められた轟は振り返る。
ミッドナイトは台本をめくりながら話し始めた。
「ロミオとジュリエットが祭壇で永遠の愛を誓うシーン、あるでしょ?」
「はい」
ミッドナイトの独断で、あえて最後に持ってきている重要なシーンだ。
「ここ」
ミッドナイトがページを指差す。
「台本だと手の甲にキス」
轟も覗き込む。
確かにそう書いてある。
そして。
ぱたん。
ミッドナイトは台本を閉じた。
「あなたに任せるわ」
「……はい?」
さすがの轟も聞き返した。
ミッドナイトは平然としている。
「するもしないも自由」
「アレンジも自由」
「だってあそこ、本気を見せる場面なのよ」
静かな声だった。
普段の大げさなテンションではない。
演劇監督としての声。
「ロミオは敵対する家を敵に回してでもジュリエットを選ぶ」
「誰にも渡したくない」
「失いたくない」
「だから永遠を誓う」
ミッドナイトは腕を組む。
「なのに手の甲って、ちょっと弱いのよね」
轟は少し考えた。
そして答える。
「指示してくれればやります」
しかし、ミッドナイトは首を振った。
「だから問題はそこなのよ」
轟が黙る。
「あなた、真面目すぎるの」
先生は続けた。
「役だからやる」
「指示だからやる」
「もちろんそれも大事」
窓から夕日が差し込む。
静かな空間。
「でも」
ミッドナイトは轟を見る。
「ロミオはそんなこと考えない」
「…………」