第23章 演劇祭
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夕暮れ。
稽古初日を終えた一行は、寮へ向かう道を歩いていた。
最前列ではミリオとねじれ。
「ミッドナイト先生めちゃくちゃ気合い入ってたよね〜!」
「いやぁ、すごかったよね!あそこまで本格的だと思わなかった!」
二人とも楽しそうだ。
その少し後ろでは、出久が環に食いついていた。
「あの、ティボルト視点だとどう見ますか!?」
「え?」
「ロミオが急に現れてジュリエットと恋に落ちるわけじゃないですか!」
「そうだけど……」
「やっぱり複雑ですよね!?」
「……複雑っていうか止める」
「やっぱり!」
出久は嬉しそうにメモを取る。
「でもロミオとジュリエット本人たちは本気なんですよね!」
「それでも止める」
「なるほど!」
「なんで嬉しそうなんだ……」
環も、少しずつだけど役と向き合っているように見える。
そして最後尾。
ユカリと轟は、そんな賑やかな背中を見ながらゆっくり歩いていた。
風が吹く。
夕日が二人の影を長く伸ばした。
しばらく沈黙が続いた後、轟が静かに口を開く。
「さっきの告白ですけど」
ユカリが隣を見る。
轟の表情はいつもと変わらない。
だけど、その目だけは真っ直ぐだった。
「俺の気持ちはずっと変わらないんで」
ユカリは足を止めそうになる。
胸が少しだけ鳴る。
体育祭の時も。
合宿の時も。
そして今も。
轟は変わらない。
誤魔化さないし、引っ込めない。
ただ真っ直ぐ伝えてくる。
「……うん」
ユカリは小さく頷いた。