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【ヒロアカ】MY SWEET HEROES

第23章 演劇祭





そして――

「ユカリ先輩」

低い声。

ユカリの心臓が一つ跳ねる。

あの日と同じ。

轟は続けた。

「好きです」

真っ直ぐだった。

余計な飾りもない。

照れ隠しもない。

ただ真実を伝えるような声。

「俺はずっと」

そこで少しだけ。

敬語が消える。

感情が乗った。



「ずっと、先輩のことが好きだ」



静寂。

誰も喋らない。

出久も。

環も。

ミッドナイトでさえ。

轟の声には演技とは違う重みがあった。

ユカリは思わず息を呑む。

そうだ。

これだ。

ロミオはきっとこういう目をする。

理屈じゃなく。

相手しか見えていない目。

短い時間だろうと関係ない。

好きだから好きなんだと。

真っ直ぐ伝える目。

ユカリは気付く。

ロミオとジュリエットの愛がなぜ観客に伝わるのか。

理由なんて必要ない。

その感情が本物に見えるからだ。

「……ありがとう」

ユカリが小さく笑う。

「なんか分かった気がする」

轟も少しだけ表情を和らげた。

「それなら良かったです」

その瞬間。

バンッ!!

机を叩く音。

「素晴らしい!!!!」

ミッドナイトだった。

涙ぐんでいる。

「今のよ!!」

「今のなのよ!!」

「見た!?」

「みんな見た!?」

大興奮。

出久は必死にメモを取っている。

『感情の説得力』

『本気の視線』

『間の使い方』

カリカリカリカリ。


―――こうして、演劇稽古初日は無事終了した。



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