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【ヒロアカ】MY SWEET HEROES

第23章 演劇祭




***

『恋を知りなさい!』

というミッドナイトの熱い言葉のあと。

キャスト陣はそれぞれ感情作りに入っていた。

だが――

ユカリは少し違った。

恋愛感情を演じろと言われて、真っ先に浮かんだ顔があったからだ。

轟焦凍。

合宿の時。

体育祭の時。

そして、あの日。

『ユカリ先輩』

低く落ち着いた声。

まっすぐな視線。迷いのない瞳。

『好きです』

その言葉。

胸が跳ねた感覚。

誤魔化せなかった鼓動。

あれは演技じゃなかった。

轟自身の気持ちだった。

だからこそ――

ユカリはふと顔を上げる。

目の前には台本を読んでいた轟。

「……轟くん」

「はい?」

轟が顔を上げる。

ユカリは少し考えてから言った。

「もう一回やってくれない?」

「何をですか?」

純粋に分かっていない顔。

ユカリは少しだけ照れる。

けれど、逃げなかった。

「その……あの時の告白」

その瞬間。

教室の空気が止まる。

全員が固まる中、ミッドナイトの目が輝く。

轟は数秒考える。

そして理解した。

「演技の参考ですか?」

「うん、感情を思い出したくて」

轟は静かに立ち上がる。

周囲がざわつく。

ミッドナイトなんてもう席に座っていない。

最前列まで来ている。

完全に観客。

「わかりました」

轟はユカリを見る。

今度は真剣だった。

演技ではなく、あの日を思い出すように。

少しだけ息を吐く。


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