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【ヒロアカ】MY SWEET HEROES

第23章 演劇祭




そしてミッドナイトの視線が移動する。

「ティボルト!」

「……はい」

環の声が小さい。

「あなたはジュリエットを誰よりも大切に思っている!」

「………」

「だからロミオが許せない!」

「………」

「ティボルトはジュリエットを守るためなら命も懸けるわ!」

「………」

「……環?」

ユカリが声をかけると、静かに顔を覆う。

「……帰りたい」

「まだ始まってないよ!?」

教室に笑いが起きた。

「とりあえずこれが台本よ!」

ミッドナイトが人数分の台本を配る。

紙の束を受け取ったキャスト陣は、それぞれページをめくり始めた。

教室はしばらく静かになる。

パラッ。

パラッ。

紙をめくる音だけが響く。

ユカリも目を通していく。

誰もが知る有名な物語。

敵対する二つの家に生まれた少年と少女。

出会い。

恋に落ち。

結婚し。

すれ違い。

そして悲劇へ向かう。

結末は変わらない。

それでも。

ページを追うほど伝わってくるものがあった。

短い時間で育まれたはずなのに。

確かにそこには本物の愛が描かれている。

「……すごい話だね」

ユカリがぽつりと呟く。

その隣では轟も真剣に読んでいた。

「ロミオ、行動力あるな」

第一声がそこだった。

「そこ?」

ユカリが思わず笑う。

「出会って数時間で結婚してる」

轟は本気だった。

「確かに早いね」

「早すぎる」

諦めて台本を読んでる環も思わず口を挟む。

「……普通は止める」

「ティボルト視点だとそうなるかもね」

「ティボルト視点じゃなくても普通にそう……」

ユカリは苦笑する。

その向かいでは出久がすでにメモを書き込んでいる。

『ロミオの感情変化』

『初対面で恋に落ちる理由』

『家同士の対立と葛藤』

『若さゆえの衝動性』

「出久くんもう分析始めてる……」

ユカリが驚く。

「えっ!?あ、ごめんなさい!つい!」

いつもの出久だった。

すると。

バンッ!

ミッドナイトが机を叩いた。

「はい注目♡」

嫌な予感。

全員が顔を上げる。

ミッドナイトは満面の笑みだった。

「今から最初の授業を始めます!」


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