第22章 お見舞い
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1年A組。
朝のホームルーム前。
教室はいつものように騒がしい。
「昨日の訓練さー!」
「宿題やった?」
「上鳴うるさい」
そんな中。
出久は教室に入るなり、一つの使命を思い出していた。
――伝言。
ユカリ先輩からの。
出久はちらりと教室の後方を見る。
いつものように机に肘をつきながら座っている爆豪。
機嫌は……普通。
たぶん。
今ならいける。
出久は慎重に近付いた。
慎重に。本当に慎重に。
だって。
これは絶対に聞かれちゃいけない。
ユカリ先輩関連の話は、なぜか毎回事件になる。
前例が多すぎる。
だから今回はこっそり、静かに。
誰にも聞かれないように。
そう決意して。
爆豪の机の横まで来た。
「かっちゃん」
爆豪が顔も上げずに言う。
「何だ」
「ちょっと」
「?」
「耳貸して」
「……は?」
嫌そう。
めちゃくちゃ嫌そう。
でも。
出久の様子が妙に真面目だったので、一応聞く気にはなったらしい。
「……何だよ」
少し身を寄せる。
出久も小声になる。
完璧。
これなら誰にも聞こえない。
「ユカリ先輩が――」
その瞬間。
ぴくっ。
近くの席の麗日お茶子が反応。
ぴくっ。
芦戸三奈も反応。
ぴくっ。
上鳴電気も反応。
ユカリ。
その単語だけで反応するA組。
出久はそれに気付かず、小声で続ける。
「昨日のうどんの味」
爆豪の眉が動く。
「……あ?」
「すっごく好きだって」
沈黙。
数秒。
爆豪、停止。
出久、任務完了だ。
「以上です!」
小声。
完璧。
これで終わりのはずだった。
「うどん?」
後ろから声。
出久の体が固まる。
振り返ると。
そこには、耳をダンボにしていた上鳴。
「え、好き?」
芦戸も。
「ユカリ先輩が!?」
麗日まで。
爆豪はゆっくり拳を握る。
こめかみに青筋。
「テメェら……」
しかしもう遅い。
芦戸が勢いよく立ち上がる。
「ちょっと待って!?昨日何があったの!?」
上鳴も乗ってくる。
「うどんイベント発生してんじゃねぇか!!」
麗日まで興奮してる。
「それ爆豪くん手作りなん!?」
爆豪は盛大に舌打ちした。
「クソがァァ!!!」