第22章 お見舞い
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朝。
1年A組が暮らす【ハイツアライアンス】の前に、ひときわ目立つ人影があった。
ユカリ。
制服姿で立っている。
しかも一人。
登校していく生徒たちは思わず二度見した。
「え、ユカリ先輩?」
「なんで1年棟の前に?」
「誰か待ってる?」
「爆豪じゃない?」
「轟かも」
ひそひそ。
ざわざわ。
勝手な予想大会が始まる。
そんな中、寮の扉が開いた。
「あれ?」
聞き慣れた声。
振り向いたユカリの視線の先には――出久。
「ユカリ先輩?」
出久は目を丸くした。
ユカリは柔らかく笑う。
「おはよう出久くん」
朝日みたいな笑顔。
出久は少し慌てながら頭を下げる。
「お、おはようございます」
それから周囲を見回した。
「あ、かっちゃんならもう先に……轟くんでしたらまだ中にいると思うんですけど……」
当然そう思う。
誰だってそう思う。
だが、ユカリは首を横に振った。
「ううん。今日は出久くん待ってたの」
沈黙。
「僕!?」
声が裏返った。
ユカリは思わず笑った。
「そんなに驚く?」
「い、いやだって……!」
出久の脳内は大混乱である。
爆豪でも轟でもなく。
自分?
なんで?
昨日何かした?
怒られる?
いやでも笑顔だし。
ユカリはそんな出久に続けた。
「話したいことがあるから、一緒に行ってもいい?」
出久はさらに混乱する。
「えっ、と……ぼ、僕は全然構わないんですけど……!?」
ユカリは満足そうに頷いた。
「じゃあ決まり。行こう?」
そう言って自然に歩き出す。
出久も慌てて後を追う。
そして。
二人の背中を見送る周囲。
数秒後。
「えええええええええ!?」
大騒ぎになった。
「待って待って待って!」
「ユカリ先輩が緑谷を迎えに来た!?」
「事件だろ!!」
「爆豪知ってる!?」
「轟は!?」
「ファンクラブに報告!!」
朝から情報戦が始まる。
出久は隣を歩きながら、緊張で背筋を伸ばしていた。
ユカリはそんな出久を見て、少しだけ微笑む。
今日、ユカリが話したい相手は。
間違いなく出久だった。