第22章 お見舞い
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目を覚ます。
部屋は静かだった。
窓の外はもう真っ暗。
ユカリはぼんやり時計を見る。
午後9時。
「……わ」
思ったより寝てた。
身体はかなり軽い。
熱もほとんど下がっている。
もう大丈夫そう。
ユカリはゆっくりベッドから降りた。
部屋を出る。
共同リビングへ向かうと、灯りがついていた。
ソファ。
そこにいたのは環。
静かに本を読んでいる。
いつもの光景。
ユカリはなんだか安心して、向かいのソファへ座った。
環はページをめくる手を止める。
一度だけユカリを見る。
そしてまた本へ視線を戻した。
「……もう大丈夫なの」
静かな声。
ユカリは頷く。
「うん、ほとんど元気」
それから思い出したように聞く。
「あ、凛から連絡あった?」
環は短く答えた。
「あった。アメリカ最高って」
ユカリは思わず吹き出す。
「同じだ」
絶対テンプレ。
でも。
その短い言葉の裏に、凛らしさが詰まってる気がして。
ユカリは少し笑った。
静かな時間。
他には誰もいない。
環は本を閉じる。
そしてぽつり。
「……爆豪、夜九時ギリギリまでいた」
ユカリは驚く。
「え?」
「門限あるのに、ずっと様子見てた」
「熱また上がったらどうするとか言って」
ユカリの顔が少し赤くなる。
環はそれを見ながら続ける。
「帰る時、“起きたら水飲ませろ”って」
「………」
完全に保護者。
ユカリは困ったように笑った。
でも。
胸の奥があたたかい。
環はそんなユカリを見ながら思う。
……変わったな。
少し前まで。
ユカリは誰に対しても同じ距離感だった。
優しくて。
柔らかくて。
でも。
最近は違う。
爆豪と話す時。
ほんの少しだけ。
特別な顔をする。
それにユカリが気付いてるのかどうかは。
わからないけど。
環は静かに視線を落とした。
そして小さく言う。
「……そろそろちゃんと考えた方がいい」
「え?」
「自分の気持ち」
ユカリは目を瞬かせる。
リビングの空気が静かに揺れた。