第22章 お見舞い
思ったより早かったインターホンの音。
リビングの空気が一瞬止まる。
その瞬間。
ユカリの脳裏に、昼の記憶が蘇った。
『……もう行っちゃうの……?』
―――。
ユカリ、硬直。
数秒後。
顔が一気に真っ赤になる。
「…………っ!!!!」
思い出した。
言った。
自分で。
「む、無理……!」
「うんうん、なにが無理なの?」
「お昼に言っちゃった……!」
「うんうん、なんて?」
「帰る爆豪くんに、もう行っちゃうの?って……」
「わぁ、それは大変だぁ」
熱でぼんやりしてたとはいえ。
何あれ。
何あの寂しがってる感じ。
無理。
恥ずかしい。
死ぬ。
ユカリは勢いよく立ち上がる。
「わ、私もう少し休むね……!!」
完全に逃げに走ったユカリ。
そのままバタバタと自室へ向かう。
「あっ、ちょっとユカリ〜!」
ねじれが声をかけるも珍しく無視。
バタン!
勢いよく扉が閉まる。
沈黙。
そして。
数秒後。
ミリオが吹き出す。
「いやぁ〜楽しいね〜!ユカリ絶対気付いてなかったよね!今の誘導尋問!」
めちゃくちゃ楽しんでる。
環は深いため息。
「……ミリオ、茶化しすぎ」
「だって面白いんだもん!」
ミリオは悪びれない。だって楽しいから。
「でもユカリ照れててかわいかったねぇ〜!」
その間にも。
ピンポーン。
二回目。
環が静かに立ち上がる。
「……出る」
玄関へ向かう。
扉を開ける。
そこには、買い物袋を提げた爆豪。
「……チッ、遅ぇ」
言いながら入ってくる。
環は少し迷った後。
ぽつり。
「……ユカリ、今ちょっと逃げた」
爆豪の眉が動く。
「は?」
リビングからミリオが教えてくれる。
「そうそう!昼の自分の発言思い出して恥ずかしくなったみたい!」
静寂。
「……発言?」
ねじれが無邪気に追撃する。
「“もう行っちゃうの?”って!」
その瞬間。
爆豪の顔が固まる。
耳が。
みるみる赤くなる。
環、そっと目を逸らす。
ミリオは腹抱えて笑った。
「青春だなぁ!!!!」
「うるっせぇぇぇ!!!!」