第6章 重症
朝の通学路。
柔らかな日差しの中、 出久は一人で雄英へ向かっていた。
ノートを見返しながら歩いていると――
「あれ、出久くん?」
聞き慣れた声。
振り返れば、そこにはユカリが立っていた。
「ユカリ先輩!おはようございます!」
「おはよう。珍しいね、こんな時間に会うの」
ふわりと笑う。
朝から破壊力が高い。
出久は少し赤くなりながら頭を下げた。
「よ、よかったら一緒に行きますか?」
「うん」
並んで歩き出す。
朝の静かな空気は心地よかった。
ユカリは今日も綺麗だった。
髪が朝日に透けて、柔らかく揺れている。
(そりゃかっちゃんも轟くんも好きになるよなぁ……)
そう思いながら歩いていると、ユカリがくすっと笑った。
「最近、出久くん、爆豪くんたちによく巻き込まれてるよね」
「えっ」
図星。
「は、はは……まぁちょっと……」
「ごめんね? 」
「自覚あるんですね!?」
「少しだけ」
意外そうに笑うユカリ。
出久は考える。
昨日、轟から相談を受けたことを思い出す。
爆豪も、かなり本気。
そして何より。
――ユカリ先輩自身はどう思ってるんだろう。
気になって仕方なかった。
「あ、あの先輩」
「ん?」
「その……かっちゃんとか轟くんのことって、どう思ってますか?」
ぴたり。
ユカリの足が少し止まる。
「……え?」
「いやその!無理に答えなくていいんですけど!」
出久が慌てる。
でもユカリは、少し困ったように笑った。
「どう思ってる、かぁ……」
その声は思ったよりも静かで。
少し考えるように視線を落とす。
「二人とも、すごく大事だよ」
「はい」
「優しいし、真っ直ぐだし」
「はい」
「一緒にいると楽しい」
出久は黙って聞く。
ユカリはふっと息を吐いた。
「……でも最近、すごくドキドキする」
「!」