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【ヒロアカ】MY SWEET HEROES

第21章 転入生




***


窓の外は大雨だった。

滑走路を叩く雨。

灰色の景色。

アナウンスだけが静かに響いている。

その中で。

八神凛は一人、搭乗口近くの椅子に座っていた。

荷物は少ない。

隣に置かれたバッグ。

スマホ。

そして静かな時間。

凛は窓の外をぼんやり見ながら呟く。

「……ユカリと環兄、怒るだろうな」

小さく笑う。

夕方の便なんて、もちろん嘘だ。

本当は午前。

黙って帰るつもりだった。

だって。

最後にしんみりするのは嫌だった。

泣かれるのも。

泣くのも。

そんなの柄じゃない。

凛は深く椅子に背を預ける。

この一ヶ月。

思い返せば。

本当に色んなことがあった。

雄英。

A組。

爆豪。

轟。

出久。

毎日うるさくて。

毎日面倒で。

毎日騒がしかった。

でも。

不思議と嫌じゃなかった。

爆豪と張り合った。

轟とぶつかった。

出久には見透かされた。

あんな風に真正面から踏み込まれたのは初めてだった。

そしてユカリ。

再会した瞬間。

抱きしめた時。

覚えていてくれた時。

笑ってくれた時。

全部。

嬉しかった。

凛はゆっくり目を閉じる。

本当は。

日本に来る前。

少し怖かった。

自分だけが昔に縋ってるんじゃないかって。

でも。

違った。 

ユカリはちゃんと笑ってくれた。

「会いに来てくれてありがとう」

その言葉を思い出す。

胸の奥が少し熱くなる。

凛は小さく息を吐いた。

「……案外、悪くなかったな」

その一ヶ月は。

きっと。

凛が思っていたよりずっと。

大事な時間になっていた。


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