第21章 転入生
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窓の外は大雨だった。
滑走路を叩く雨。
灰色の景色。
アナウンスだけが静かに響いている。
その中で。
八神凛は一人、搭乗口近くの椅子に座っていた。
荷物は少ない。
隣に置かれたバッグ。
スマホ。
そして静かな時間。
凛は窓の外をぼんやり見ながら呟く。
「……ユカリと環兄、怒るだろうな」
小さく笑う。
夕方の便なんて、もちろん嘘だ。
本当は午前。
黙って帰るつもりだった。
だって。
最後にしんみりするのは嫌だった。
泣かれるのも。
泣くのも。
そんなの柄じゃない。
凛は深く椅子に背を預ける。
この一ヶ月。
思い返せば。
本当に色んなことがあった。
雄英。
A組。
爆豪。
轟。
出久。
毎日うるさくて。
毎日面倒で。
毎日騒がしかった。
でも。
不思議と嫌じゃなかった。
爆豪と張り合った。
轟とぶつかった。
出久には見透かされた。
あんな風に真正面から踏み込まれたのは初めてだった。
そしてユカリ。
再会した瞬間。
抱きしめた時。
覚えていてくれた時。
笑ってくれた時。
全部。
嬉しかった。
凛はゆっくり目を閉じる。
本当は。
日本に来る前。
少し怖かった。
自分だけが昔に縋ってるんじゃないかって。
でも。
違った。
ユカリはちゃんと笑ってくれた。
「会いに来てくれてありがとう」
その言葉を思い出す。
胸の奥が少し熱くなる。
凛は小さく息を吐いた。
「……案外、悪くなかったな」
その一ヶ月は。
きっと。
凛が思っていたよりずっと。
大事な時間になっていた。