第21章 転入生
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モニタールーム。
さっきまで誰も言葉を発せなかった。
静まり返っていた空間。
でも。
『八神、脱落』
あのアナウンス以降。
少しずつ空気が戻り始める。
「まさか緑谷くんが……」
「凛くん自分から……?」
ねじれもミリオもまだ驚いていた。
環だけは静かにモニターを見つめている。
そして。
しばらくして。
モニタールームの扉が開いた。
入ってきたのは出久と凛。
二人ともボロボロだ。
次の瞬間、二人の視線が止まる。
「……え」
モニタールームにいるユカリを見て出久は驚く。
凛も一瞬目を見開く。
「なんで先輩いるんですか!?!?」
出久が大混乱する中、ミリオが笑った。
「観戦組〜!からのアドバイス係!」
「そうなんですか!?」
一方。
凛は少し黙ったあと。
ゆっくりユカリへ近づく。
「……ユカリ」
ユカリが顔を上げる。
凛は右肩付近の裂傷を見せた。
「この傷、治せる?」
ユカリはすぐ頷く。
「うん、治せる。座って」
その声は優しい。
凛は静かに椅子へ座った。
ユカリがそっと傷へ触れる。
淡い光。
ゆっくり傷が塞がっていく。
その様子をみんなが見ていた。
でも。
誰も茶化さない。
誰も口を挟まない。
だって。
気になっている。
この二人がどうなるのか。
凛はしばらく黙っていた。
やがて。
ユカリがぽつりと言った。
「……ごめんね」
治療の手が少し止まる。
「何も知らなくて」
その声はいつもより小さくて。
凛は少しだけ笑う。
自嘲みたいな笑い。
「隠してたんだから知るわけない」
静かな声。
ユカリは何も言えない。
凛は天井を見ながら続けた。
「ユカリを連れて帰るとか格好つけて……本当バカみてぇ」
その言葉。
苦しくて。
でも。
どこか吹っ切れた響きもあった。
ユカリは傷を治しながら静かに言う。
「バカじゃないよ」
凛が目を向ける。
ユカリは少し困ったように笑った。
「凛、昔からずっと頑張ってたんだね」
その瞬間。
凛の目が揺れる。
まるで。
幼稚園の頃みたいに。
真っ直ぐ見てくるその優しさが。
痛いくらい胸に刺さった。