第21章 転入生
空気が張り詰める。
静寂。
その沈黙を先に破ったのは凛だった。
「……そこを狙えない?」
低い声。
感情を押し殺した声。
「ヒーローを諦めてほしくないから?」
凛は出久を見る。
その目。
さっきまでとは違う。
冷たい。
鋭い。
そして。
怒っていた。
「だから何だよ?」
ゾワッ、と空気が震える。
「お前が俺の何を知ってる?」
その瞬間、凛が動く。
速い。
今までよりさらに。
殺気すら混じる踏み込み。
出久が咄嗟に後退。
ドォン!!
瓦礫が吹き飛ぶ。
「っ……!」
モニタールームの全員が息を呑む。
「凛……」
ユカリが小さく呟く。
環も目を細めた。
怒ってる。
明らかに。
出久は次の攻撃を読む。
来る。右。
フェイント。
低姿勢で避ける。
ギリギリ。
凛の蹴りが頬を掠める。
「っ……何も知らない……!」
出久が叫ぶ。
「だから教えてほしいんだ!」
凛の拳を、出久は防ぐ。
重い。
腕が痺れそうだ。
それでも。
出久は叫ぶ。
「僕じゃなくても――ユカリ先輩に!」
その瞬間。
凛の目が大きく揺れた。
「ユカリはもう関係ねぇ!!」
怒声。
今までで一番感情的な声。
凛が一気に距離を詰める。
連撃。
速い。
重い。
出久が押される。
ポイントがさらに削れる。
でも。
出久は引かない。
「関係なくなんかない!!」
凛の攻撃を避けながら叫ぶ。
「君がヒーローを目指す原動力になった人だ……!!」
ドンッ!!
衝撃。
出久がまた吹き飛ぶ。
床を転がる。
息が詰まる。
痛い。
でも、立ち上がる。
何度でも。