第21章 転入生
「……転入初日、君のお父さんとオールマイトが知り合いだって言ってたから」
出久は続ける。
「僕、オールマイトに聞きに行ったんだ」
その時の記憶。
職員室。
出久は震える声で記事を見せた。
『この記事ほんとですか……?』
オールマイトは静かに目を伏せた。
『ああ、本当だ』
出久は言葉を失った。
『で、でも……八神くんは回復したんですよね?実技訓練でも問題なさそうに見えましたし……』
オールマイトはゆっくり答えた。
『それは彼の必死のリハビリのおかげさ』
『死ぬほど辛い思いをして、リハビリに励んだとお父さんから聞いてる』
『だが』
その時。
オールマイトの声は重かった。
『それでも、全て回復したわけじゃない』
『リスクが残った』
出久が息を呑む。
『リスク……?』
オールマイトは静かに言った。
『……次に右腕を損傷するようなことがあれば』
『もう二度と、機能しないそうだ』
静寂。
そして。
『言うなら八神少年は――』
『右腕に爆弾を抱えているようなものなんだ』
その声は暗かった。
苦しかった。
英雄を目指す少年にとって。
それがどれほど残酷か。
オールマイトは知っていた。
***
現在。崩落エリア。
出久は真っ直ぐ凛を見る。
「だから僕は、そこを狙えない」
息を切らしながら。
それでも。
言葉は迷わない。
「君に、ヒーローを諦めてほしくないから」
凛は何も言わない。
ただ。
静かに出久を見ていた。
その目の奥で。
何かが揺れていた。