第21章 転入生
ページをめくるたび。
少しずつ記憶が戻ってくる。
凛と砂場で遊んだこと。
眠くなった凛が自分にもたれかかって寝てたこと。
泣いてる園児に凛が不器用にティッシュ渡してたこと。
全部。
ちゃんとそこにあった。
ユカリはアルバムを抱えながら天井を見る。
胸がじんわり温かい。
恋、とは少し違う。
でも、大切。
凛が自分との約束をずっと覚えていた理由も。
少しだけわかる気がした。
「……ほんとに迎えに来るなんて」
小さく呟く。
その声はどこか優しかった。
窓の外では夜風が揺れている。
あと3日。
その時間が。
ユカリには少しだけ切なく感じられた。
***
同じ頃。
寮の自室。
爆豪はベッドに寝転びながらスマホを見ていた。
ブブッ。
通知。
例のグループLIME。
爆豪は眉をひそめる。
送信者。
八神凛。
短い一文だけ。
【凛:明後日の特別実技。俺が1位になる】
それだけ。
爆豪の目が細くなる。
静かな部屋。
今日、凛はユカリに呼び出されていた。
でも。
何を話したのか。
誰も知らない。
凛は何も言わないし。
ユカリも話さない。
だから誰も踏み込まない。
踏み込めない。