第23章 演劇祭
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3年A組。
こちらもまた、発表の余波に飲み込まれていた。
ただし――
盛り上がり方の方向性が少し違う。
「……ユカリ」
死にそうな声を出しているのは机に突っ伏した環。
「……俺が明日学校に来なかったら」
一拍。
「死んだと思って忘れてくれ」
「ちょっと!」
即座にツッコミが飛ぶ。
ユカリである。
「1人だけ逃げるとかだめだからね環!」
「でもこれ絶対ユカリの巻き添え……」
「う……」
核心を突かれてユカリは何も言えなくなる。
その隣でねじれが楽しそうに笑う。
「でも楽しみだね〜!ロミジュリ〜!」
「だよね!ユカリと環がメインで出るんだから絶対盛り上がること間違いなしだよね!」
ミリオもわくわくしている。
ミリオとねじれは主要キャストではないものの、脇役を担当することが決まっている。
「でもさ〜」
ねじれはふと首を傾げた。
「爆豪くん、怒っちゃわないかな〜?」
その瞬間。
教室が静かになる。
全員が同じ人物を思い浮かべた。
1年A組、爆豪勝己。
「え、なんで爆豪くんが怒るの?」
ミリオがきょとんとする。
「だって恋愛劇だよ?ユカリのお相手轟くんだよ〜?」
ねじれがくるくる回る。
ユカリもぽつりと言う。
「演劇だよ?怒らないと思うよ……?」
「そうかなぁ〜。天喰くんはどう思う?」
「……帰りたい」
もうすでに1人疲れた顔をしている環を見て、ミリオは盛大に吹き出した。
その頃。校内の各所ではすでに、
「ロミオ派」
「ジュリエット派」
「マキューシオ派」
「ティボルト派」
などという意味不明な派閥まで誕生し始めていた。
そして。
誰も気付いていない。
最大の問題は。
まだキャスト発表が終わっただけで、稽古すら始まっていないということだった。
にもかかわらず。
雄英高校はすでに、演劇祭前夜レベルの熱狂に包まれていた。